新着情報[生命環境化学科]久保裕也 准教授 下水汚泥焼却灰の処理方法に関する技術発明が特許権を取得

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2022.04.04
【特許番号】第7009008号  【登録日】令和4年1月14日
【発明の名称】下水汚泥焼却灰の処理方法
工学部生命環境化学科の久保准教授が発明し、特許出願した「下水汚泥焼却灰の処理方法」に関する技術発明が特許権を取得しました。

< 本特許発明の要約 >

農作物をはじめとする食料品に含まれているリンは、例えば人間の日常生活において消費されることで屎尿として下水等の生活排水となります。そして、下水処理場にて活性汚泥処理等の排水処理プロセスを経ることで、リンの大部分が汚泥中に濃縮されます。汚泥中に濃縮されなかったリンは排水として放流されますが、その排水中のリンは海域において環境汚染物質として作用するため、排水中のリンの含有量が多くなることにより富栄養化等の環境悪化を招くことにもなりかねません。そこで、下水処理の分野では、富栄養化防止の観点で排水中に含まれるリンを沈殿除去する技術が導入されていますが、沈殿物としての下水汚泥が大量に発生します。従って、下水汚泥焼却灰からリンを全量回収することができれば、我が国におけるリン資源の多くを賄えることが期待できます。しかしながら、下水汚泥焼却灰にはリン鉱石に比べ、リン以外の多くの不純物が含まれているため、下水汚泥焼却灰からリンを選択的に回収することは容易なことではありません。そこで、下水汚泥焼却灰から積極的にリンを分離回収して再資源化するための技術が求められています。

本発明によれば、下水汚泥を焼却して得られる下水汚泥焼却灰を、アンモニアガスと塩化水素ガスを含む混合ガスを雰囲気ガスとして反応させることで、下水汚泥焼却灰に含まれる成分のうち、リン成分以外の酸化物が混合ガスと選択的に反応して塩化物に変化します。生成された塩化物は易溶解性、低温揮発性のため、水溶液浸出、及び揮発により除去することが可能であり、下水汚泥焼却灰を構成する成分からリン成分を効率的に回収することができます。
また、下水汚泥焼却灰を揮発物と反応生成物とに分離する工程は、下水汚泥焼却灰に粉末状の塩化アンモニウムを混合して混合物を生成する工程と、混合物を所定の温度で加熱する工程とを有する場合には、熱分解(NH4Cl→HCl+NH3)で発生する塩化水素ガスの温度は300℃以上となり高い反応活性があるため、下水汚泥焼却灰に含まれる酸化物のうち鉄成分が低温揮発性の塩化物(沸点略300℃)となって揮発し、その他の成分は塩化アンモニウムと迅速に反応し、易溶解性の塩化物に変化させることができます。
また、反応生成物を水溶液で浸出し、浸出液と残渣に固液分離する工程を有する場合には、反応生成物のうち、易溶解性の塩化物は浸出液に溶解します。そのため、固液分離された残渣である処理灰中にはリン以外の不純物が除去された状態となるため、残渣からリン成分を効率的に回収することができます。

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