新着情報[生命環境化学専攻]赤木 研究室 令和6年度日本生化学会九州支部例会において 優秀ポスター賞銀賞、優秀ポスター賞銅賞 受賞
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2024.07.05
2024年6月22日(土)、23日(日)熊本大学にて開催された令和6年度日本生化学会九州支部例会において、生命環境化学専攻赤木研究室2年と1年の学生のポスター発表が優秀ポスター賞銀賞と優秀ポスター賞銅賞を受賞しました。
赤木研究室が取り組む細胞分子メカニズムの解明に関する研究が評価されました。
赤木研究室が取り組む細胞分子メカニズムの解明に関する研究が評価されました。
「STAT3ER発現マウスES細胞を用いたSTAT3リン酸化の意義の解析」
ES細胞はサイトカインLIF刺激により自己複製します。具体的にはLIF刺激により、細胞のSTAT3がリン酸化され、二量体を形成し、核内に移行します。その後、自己複製に関する遺伝子の発現を誘導します。一方、エストロゲン受容体との融合タンパク質であるSTAT3ERはLIF刺激がなくても、4HT処理で二量体化し、自己複製を維持します。STAT3には少なくともY705とS727のリン酸化が知られています。
YまたはSのいずれかがFまたはAに置換されるとリン酸化されず、SがEで置換されるとリン酸化状態が模倣されます。本研究では、STAT3ER発現ES細胞(野生型、YF、SA、SE、およびYF/SA)を利用し、4HT培養で機能的な違いを解析しました。興味深いことにYFは、4HTで人為的に二量体化を形成しても、自己複製を維持することは出来ませんでした。本発表ではSおよびYの自己複製における意義を考察しました。
「変異型転写因子C/EBPεと免疫不全症」
好中球は、白血球の1種で、強い貪食作用を有し、身体を守る主要な生体防御機構を担っています。転写因子C/EBPεは、好中球の正常な分化に関与する重要な転写因子です。転写因子C/EBPεの不活化により、好中球が正常に分化せず、免疫不全症を引き起こします。この疾患をSGDと呼びます。本研究では、SGD患者で新たに認められた変異型C/EBPε(del11)に着目し、転写活性化能・細胞内局在・タンパク質間相互作用・DNA 結合能を検討しました。
過剰発現実験より、変異型C/EBPε(del11)は、好中球に特異的な遺伝子の発現を誘導しませんでした。またプルダウン解析から、他のタンパク質との相互作用やDNA結合能が欠損していました。顕微鏡観察で細胞内局在を検討したところ、核に局在せず細胞全体に広がっていました。これらの性質の異常から、変異型C/EBPε(del11)は、正常に機能せずSGDの発症に関与していると考えられます。
好中球は、白血球の1種で、強い貪食作用を有し、身体を守る主要な生体防御機構を担っています。転写因子C/EBPεは、好中球の正常な分化に関与する重要な転写因子です。転写因子C/EBPεの不活化により、好中球が正常に分化せず、免疫不全症を引き起こします。この疾患をSGDと呼びます。本研究では、SGD患者で新たに認められた変異型C/EBPε(del11)に着目し、転写活性化能・細胞内局在・タンパク質間相互作用・DNA 結合能を検討しました。
過剰発現実験より、変異型C/EBPε(del11)は、好中球に特異的な遺伝子の発現を誘導しませんでした。またプルダウン解析から、他のタンパク質との相互作用やDNA結合能が欠損していました。顕微鏡観察で細胞内局在を検討したところ、核に局在せず細胞全体に広がっていました。これらの性質の異常から、変異型C/EBPε(del11)は、正常に機能せずSGDの発症に関与していると考えられます。